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          浦島アレンジ1 浦島とクミ

 

(うらやましいなあ、さみしいなあ)

鶴雄は常にそう思っていた、浦島太郎の親友だ、。

太郎はお人よしで恋人を持つ

鶴雄はいつもそれがうらやましかった、

それだけではない。

夏の日差しのつよいときは、彼らはよく二人で海でくつろいでいた。

だけどどこにいうにも、人気であり、色々仕事を頼まれる

彼が妬ましくもあった。

 そういう太郎は今日も平気な顔で色々な村の頼み事を

仕事が終わった夕方に頼まれて回る。

 夕方すぎての役職といえばただのお人よしだ。

(村八分のリュウギというオバアがいた、

 あの人はたしか外国のどこか遠い人の血をついでいる)

今日の頼まれ事は、畑仕事を終えたあとに

そのリュウギバアのもとへ、様々な言伝を頼まれたのだ、

なにしろ他の人間はかかわりたがらない。

そのオバア妖術を使うもので、知る人は知っていた事なのだ。

お人よしのあなたが一番いいから、といわれたので

任せられるままに立ち寄った。

そこに幼馴染がいた、

鶴雄、なんでここに。

「商売の手伝いだあ」

彼等の様子はぎくしゃくしていたが、太郎はさっさと言伝を

頼まれた通りにすました。
また人を信じてしまった。
 

 というのも

その日太郎は、口止め料としていくつもの褒美をうけとったが、

恋人のカメはたいそう不安がっていた。

「ここのところ病がはやっているというし、そとからくるものには

かかわらないほうがいい。」

太郎は人の悪口をいうとやめなさいとすぐにすねるので。
カメはもう何も言わなかった。

 

一週間ほどすぎた、さらに熱いある日太郎は美女を救った。

美女は奴隷のような扱いをうけている、

オババの侍女だった、

何だかんだ、このオババの奇妙な妖術に魅せられている村の衆

も多かった。

だから、彼女のもとで働きたいというものもいた。

その美女はクミといった、。

クミというのは美女だったが、片方の目が見えず、

村では少し煙たがられていた。

いまではそんな事をすれば、叱られるものだが。

ともかくその美女が、太郎がとなり村を散策しているときに

オババにひどくぶたれていたので、

こらえきれず割って入った、

オババはおこって去っていったが、

太郎はその美女から様々なごちそうをもらって帰った。

太郎は一つ頼まれ事をしていた、

「いつか、私の縄をほどいてください、そしてもしよければ

一緒にどこかへ逃げましょう」

その日鶴雄はどうしてもカメに恋心をいだき

オババのもとへと連れて行こうとする

カメと鶴雄は、シャーマンであるオババの元へ。
その帰り道を目撃してしまったのが太郎だった。

「はなせ!!」

カメはひどくしかられた、

自分以外の男としたしくなるといけない。

カメがいくらいいわけしても人を信じろと言っても無駄だった。

三人は幼馴染だったのに、その態度にカメはひどく傷付いた。

太郎はといえばクミとの約束がひかえていた。

明日の日の出すぐにここへきて。

そうでなければ縄はほどけません。

太郎は朝から村人にみつからないよにガサゴソとなるべく

静かに移動して、

夜は離れに隔離されているというクミを探した、

離れをみまわしてもどこにんもなかた

どうやら地下牢があるらしかった、

やっとみつけた牢屋の一室、クミは何も言わずにぼんやり

していた、こっちさえみない、怒っているのだろうか?

そういえばどうした事だ?錠を壊すために斧を持ってこいと

この女が言った。

それになぜだ?この落ち着き用は、

逃げないのなら、私を愛さないのなら斧でオバアを殺せといったのは

この女じゃないか

(どうしてくみは何もいわないんだ?)


ほどこうとした縄が、初めからとけていた事をしった。

背後に人影があらわれる、障子を開けて二人、

クミの表情はどこか恍惚としたものになっていた。

オバアがでてきて、この村の商売の事をいいただした。

「私はこの薬を売っていたのだ」
この液体は、飲んだものにしか効果がない。

 

「こいつをその女にのませたのさ、

いくら貧乏といえ、この女の容姿だ、妻にしたい男は

大勢いたものだ、これが今のからくり

そしてこいつは俺のものだ。」

太郎と鶴雄は昔からの仲良しで

よく海に入っては遊んだ、

だが鶴雄は、意地が悪かった、

たまに太郎に動物をいじめられてはしかられた、

今でもその事を根に持っていたのだ。

「嘘を云ってはいけないと誰が言った?

そう決めたのはこの村だ、

このさき、外国から多くの船がくる

シャーマンっつうあのリュウギの術者が教えてくれた」

 

 太郎、決着だ、

そうさけぶと彼はきりかかる、簡単にそれをよけた太郎だったが

オバアのリュウギが重たい斧の裏側で彼の肩をたたき

その場にひれふした。

そこから太郎の記憶はおぼろげだった、

時たま振り返る記憶はどれも美しいものばかり。

太郎にはまだ、世界がまぶしく見えた。

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