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 ドライアドは1日後の議会をまつあいだ不安だった

思い起こせば(このごろ)よく
森の精霊とモリア村の重役が集会場で話をしていた。

その頃人との関係を避けていたドライアドは、よく聞いてはいなかった

夜になるといやがおうでも内容が

彼女の耳にも伝わってきた。

ドライアドの領地から入った人間が悪さをした。

フー谷に人間の用途の分からない生活道具を捨てていったようだと。

それが彼女の手と森の異変と首長の喚き声の原因だと。

   ライアドはのモリア森を守護する精霊でニンフの一人。

この村は都市と独立した風習と宗教を持っている。

 モリアのしきたりは数あるわけだが、

その中のひとつに星の降る夜を言い当てる事がある。

それは、いわゆるモリア首長である精霊王ジュシュアのもっとも厳しいしきたりだ。

冬の時期になると、都市の人々が星が綺麗に見えるこの場所を訪ねてくる。

ドライアドはいまでこそその事を嫌悪しないが、今でこそなのだ……。

 

 それはさかのぼる事10年も前、今も仕事はかわらないが

精霊として生まれた彼女は、ここに尋ねてくる人間達と村人との関係と村の関係を手助ける役割もあった。

そんな事にもかかわらず、丁度10年前だがその時期は粗暴さが目立っていた。

 前年に、相棒のシレネが枯れてしまったので

その時の気持ちのまま、それまで人間への愛をどう表現したのかを忘れた。

シレネが枯れたという事は、その精霊も枯れたのだ。

そんな風に、落ち込むときの彼女はことある事に、魂がぬけたようになる。

それでも今回はいっそう苦痛で、人間のすてていく様々な用途の分からない部品よりも恐ろしい、でもなぜ辛い時に限ってなぜ、

自分勝手で村の全てを管理したがる人間の世話を焼かなければいけないんだろう?

 うかうかする間に夏が来た。 
ドライアドは暑さにも苦しんだ。
そんなある雲の多い真夜中、森の奥地で大声で一人鳴いているものがいた。
珍しくも涼しい夜でしyた。
それは精霊王だったが、彼女はわからなかった、他のほとんどの精霊は聞き分けた。
ドライアドには聞こえなかったのは、
ドライアドは自分の領地の管理の(がさつさ)の責任を精霊のまとめ役である彼に問われる事を恐れていたから
 
 その三日後、彼女はひさびさに自分の持たされた小さな領地をでる。
虫や木々の管理が責任。
近頃昼間に喉がからからにかわく時だけ、村の奥地の神性なる谷に入る
モリア村のフー谷だ。
そこは聖地だ、信仰のあるものに知らない者はいない場所で信仰の中心地。
彼女は潤いを求めて今日もそこにきた。
たまたまその時異変に気付いた、木々が紫に変色している、気づいた時には
谷に流れる川の水で喉を潤していた。
ドライアドは2日の後、その時のんだ水で両手が紫になった。
異変は水にあった、精霊王はその事で病んだのだ。
ドライアドは、代表者の議会にその手の治療を懇願する事にした。

 2日後訴えはしりぞけられた

ドライアドは責任を問われた。

森が起こり、変色した、発端はドライアドの管理不足
 

精霊王は怒ってその人間を見つけ出し、報いを受けさせるように命じた。だがドライアドは断った。

その首長は、ドライアドの権限を向こう10年それ以上拡大させない決定をする。

精霊議会は、報いとしてドライアドの紫になった両腕を救う事を禁じた。

精霊たちにその力と権限があるにも関わらず。
ドライアドはそれから必死の想いで罪をつぐなった。

毎日木々の様子と(間引き、つちはけ)、虫たちの告げる太陽と星の変化の様子を注目して。

黙っていてもひろがる領地と、少しはましになっていくであろう地位をあきらめた。

せっせと森を管理して、聴きたくもない人間の言葉を耳を傾ける。


精霊王が変わった10年後。
彼女こそが、何の因果か10年も前の事の原因をつきとめた。

聖地たるフー谷の奥地で、
木の根の近くで木の生長の途中でくぼみにおち、木の一部と化した

人間の用途のわからない生活道具をみつけたのだった。
その使い方のしれぬ部品は、朽ちてもなおあの頃を思い出させるように  カチカチと規則的に音をたてていた。

※この物語は創作です。
 

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